2011年3月6日日曜日

[呼吸器話] バッグが固いのはなぜ?

無事に気管挿管を終えた後、バッグ換気をしたことがありますか?たかがバッグ換気と侮ってはいけません。これもりっぱな陽圧換気です。ポリオが流行した時期に初めて行われた陽圧換気は、気管切開をして医学生が交代でバッグを押すというものでした。その後、医学生の代わりに機械で陽圧換気を行うようになったため、当初の人工呼吸器は”Mechanical student”と呼ばれました。
さてそのバッグ換気なのですが、患者さんによってバッグを押すのが固かったり柔らかかったりするのに気がつきましたか?この「固い」「柔らかい」というのはどこから来るのでしょうか?挿管チューブが8mmのときと6mmの時では違いがありますか?喘息重積発作の場合はどうでしょうか?患者さんがチューブを咬んでいるときには押しやすさは変わりますか?肺水腫やARDSの患者さんの場合はどうでしょうか?
答えの前に人間の呼吸器について考えてみましょう。肺生理の古典的な考え方に、人間の呼吸器を管の部分と袋の部分に分けるというものがあります。管というのは上気道、気管、気管支、細気管支を全て含んだ空気の通り道を指し、気管挿管されて人工呼吸器に繋がっている患者ではさらに挿管チューブも含んで考えます。それに対して袋の部分は肺胞に相当します。したがって非常に単純に考えると人間の呼吸器はストローに風船がついたものになります。
第1回ワークショップ講義資料より

「そんなばかな、自分の呼吸器はもっと複雑にできている!」と思われるかも知れませんが、おっしゃるとおりです。実際はそんなに単純な話ではないこともあります。しかしこの概念は非常に有用であり、人工呼吸を学び始めたばかりの方にとっては役に立ちます。実際に研究や教育目的に使われている模擬肺もこの考え方に基づいています。
次回はバッグを押すのが固くなる理由について話します。

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