前回クイズの答えです。
ゲオルク・オーム(wikipediaより) |
この人はオームの法則でおなじみのゲオルク・オームさんです。右手または左手の指を思い出した方、それはフレミングの法則で別物です。
フレミングの左手の法則(wikipediaより)今回の話とは関係ありません |
おそらく皆さんはオームの法則を
電圧=電流×電気抵抗
と覚えておられると思いますが、この法則は電気以外にも当てはまり、生理学でもよく使われています。スワン・ガンツカテーテルで血管抵抗を計算するのもオームの法則を使うのでしたよね。生理学で使う場合は
圧較差=流速×抵抗 (ΔP= I x R)
とします。
前置きが長くなりましたが、オームの法則から分かるように、流れを作るには圧較差が必要になります。呼吸に当てはめると、気道という抵抗のある管に空気を通すためには、肺内外で圧較差を作る必要があります。私たちが普段行っている自発呼吸の場合
呼吸筋収縮→胸腔拡大→胸腔内陰圧→胸腔内への空気の流入
と言うメカニズムで吸気をしています。下の写真のような理科の実験がありましたよね。ゴムの部分が横隔膜(呼吸筋)に相当し、胸腔容積を拡大することで胸腔内を陰圧にして吸気を行います。
TAKA先生の『中学校理科の授業記録』から「観察12 肺と2つの呼吸」 |
前回紹介したIron Lungはこの自発呼吸の延長と考えられます。患者さんがたとえばポリオなどで呼吸筋を動かせず、自分で胸腔内を陰圧にできないのを補うために、この大きな呼吸器内を陰圧にしてそれによって胸腔内を陰圧にします。圧較差を作らなければならないので、気道の開口部(口、鼻)は呼吸器の外になければなりません(体全部に陰圧をかけても圧較差はできませんよね)。
現代版Iron Lung (wikipediaより) |
次回はいよいよ現在使っている呼吸器の話に入ります。
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