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2011年4月24日日曜日

[アシュワース教授] パート2その2 異常な圧波形

Pressure Spike
圧波形における“スパイク”現象

When you look at the Pressure versus Time Waveform in the following image, you notice that the tracing for the first two breaths appears normal. However, on breaths three and four, there is a sudden increase in pressure toward the end of inspiration. This is referred to as a Pressure Spike. It represents a sudden increase in pressure at the end of inspiration.

 次の圧-時間波形を見ると、はじめの2波形は正常ですが3つ目及び4つ目の波形では吸気後半にかけて圧の上昇が突然見られることに気づくでしょう。これが圧波形の“スパイク”とよばれるものです。吸気終了時点での突然の圧の上昇が起こっています。


There are two primary causes of a Pressure Spike. One cause of a Pressure Spike is that the patient is activating his or her expiratory muscles while the ventilator is still delivering gas in the inspiratory phase. Generally, this indicates that the inspiratory time is too long and should be reduced. This can also be detected by placing your hand on the patient’s abdomen, which will allow you to feel contraction of the expiration muscles while the ventilator is still delivering the breath.

 この現象は2つの要因から起こります。まずひとつは人工呼吸器がいまだ吸気相でガスを送り続けようとしている際に、患者自身が呼気筋を使って息を吐こうとしている状態です。一般的に、この状態は吸気時間が長すぎること示しており、吸気時間を短縮する必要があります。患者の腹部に実際手を置いてみると、人工呼吸器が送気をし続けている間に患者自身が呼気筋を使用し息を吐こうとしていることを感知することができます。

The second cause of a Pressure Spike is that the delivered tidal volume is too high. If the delivered tidal volume is too high, the compliance of the lung and thorax will suddenly decrease at the end of inspiration. This results in a sudden increase in pressure which is displayed on the graphic waveform as a Pressure Spike.

 圧-時間波形における吸気後半でのスパイク波形のもうひとつの要因に、供給一回換気量が大きすぎることがあげられます。供給一回換気量が大きすぎると、肺と胸郭のコンプライアンスが吸気終末で突然低下します。これに伴い圧が突然上昇し、グラフィック波形に圧スパイクとして表れるのです。

Sagging Pressure versus Time Waveform
圧―時間波形における陥没波形

When you look at the following image, you notice that the Pressure versus Time Waveform on the second and third breaths does not demonstrate the expected gradual increase in pressure as discussed earlier. In fact, the waveform actually demonstrates a decrease in pressure or a Sagging appearance in the middle of the breath. This is usually referred to as a Sagging Pressure versus Time Waveform and it means that the patient’s inspiratory effort has exceeded the set flowrate and/or the set tidal volume, resulting in patient-ventilator dys-synchrony.

 次にあげる画像を見た際、2つめと3つめの呼吸では前述したような段階的な圧の上昇がみられないことに気付かれるでしょうか。実際この波形は呼吸の途中で圧が低下し、陥没した波形になっています。これは陥没波形といわれ、患者の吸気努力が設定した吸気流速や一回換気量を上回り、結果的に人工呼吸器との非同調をおこしていることを表します。




日本語訳 岩本志津(米国呼吸療法士)

2011年4月19日火曜日

重症集中ケア特集


看護師向けの雑誌で、「エキスパートの呼吸器ケア」という特集が組まれました。4・5月号、6・7月号に続きます。

基礎である呼吸生理から人工呼吸管理中に必須の知識を、様々な病院のチーム医療を担っている先生方にご執筆いただいています。

看護師向けですので、内容は大変理解しやすく、臨床でも学校でもお役にたつ内容となっております。

この雑誌は、年間購読ですので書店でお買い求めすることはできませんが、臨床の看護師が購読していることがありますので、是非みなさんで共有していただければと思います。

4・5月号のラインナップは以下のようになっています。6・7月号には、「若手医師のための・・・」に携わっている医師の方々にもご執筆いただいております。






呼吸生理学の基礎  

磨田 裕(埼玉医科大学国際医療センター 麻酔科 教授)


呼吸と循環の関係~循環から呼吸を感じるセンスを身につけよう~

讃井將満(東京慈恵医科大学 麻酔科・集中治療部 准教授)


画像アセスメント

森山 潔(杏林大学医学部 麻酔科学教室 専任講師)


人工呼吸器初期設定

尾崎将之(聖マリアンナ医科大学 救急医学 助教)

藤谷茂樹(聖マリアンナ医科大学 救急医学 准教授 救命救急センター副センター長)


人工呼吸管理中の日々のアセスメント

小谷 透(東京女子医科大学 麻酔科学教室・集中治療室 准教授)


SBTの方法と評価~人工呼吸器からのウイニング~

古川力丸(日本大学医学部 救急医学系救急集中治療医学分野 医員)


抜管時の準備と介助

塚原大輔(杏林大学医学部付属病院 集中治療室 主任 集中ケア認定看護師)


SpO2モニタリング

日比野 聡(コヴィディエンジャパン株式会社 レスピラトリー事業部 

        クリニカルサポート・事業部マーケティング部 東日本CS課 課長)


カプノグラフィー

高橋由典(杏林大学医学部付属病院 臨床工学室 臨床工学技士)


人工呼吸器モニターデータ

佐藤敏朗(東京女子医科大学東医療センター ME室主任技師・臨床工学技士・臨床検査技師)


アラーム設定

野本宏美(総合病院土浦協同病院 救命救急センターICU 集中ケア認定看護師)






2011年4月16日土曜日

[アシュワース教授] パート2その1 圧波形の見方

Part 2 – Pressure versus Time Waveform
パート2 圧-時間波形

The Pressure versus Time Waveform is used to help identify patient-ventilator dys-synchrony. Some published research has identified patient-ventilator dys-synchrony in up to 25% of patients receiving ventilatory support. Patient-ventilator dys-synchrony may increase the patient’s work-of-breathing, prolong ventilatory support and may increase the chance of ventilator-induced lung injury. Therefore, it is very important to carefully monitor the Pressure versus Time Waveform to prevent patient-ventilator dys-synchrony.

 圧―時間波形は患者と人工呼吸器の非同調を把握するのに役立ちます。数点の研究で人工呼吸器管理を受けている患者の最大25%に人工呼吸器との非同調があると発表されました。患者と人工呼吸器の非同調は呼吸仕事量を増やし、人工呼吸器装着期間を延長し、VILI(人工呼吸による肺障害)を起こします。したがって、圧-時間波形を注意深く観察し、患者と人工呼吸器の非同調をふせぐことがとても重要なのです。

Normal Waveforms
正常波形

The following image is an example of a patient being ventilated in Volume-Targeted ventilation. The ventilator settings are: Volume A/C; Respiratory Rate 20/minute; Tidal Volume 0.5 L; Peak Flowrate 60 LPM; Square Flow Waveform; PEEP 0 cm H2O. This patient is not making any spontaneous efforts.

 次の画像は容量規定換気で人工呼吸器管理下にある患者の例です。人工呼吸器設定はVolume AC換気回数20/分、一回換気量500ml、最大吸気流速60LPM矩形波、PEEP 0cmH2Oで自発呼吸はありません。



The Flow versus Time Waveform is the second tracing. Notice how the tracing on the graph goes up to the set peak flowrate of 60 LPM, then gradually decreases throughout inspiration because the decelerating ramp flow waveform was selected. When expiration begins, the tracing demonstrates the peak expiratory flowrate of approximately 50 LPM, then the tracing gradually returns back up to baseline at the end of expiration.

 2段目の波形が流量-時間波形です。グラフィック上で設定された60LPMのところまで曲線が上がり、そこから吸気終了までゆっくりと低下することが見てわかるでしょう。これは漸減波に設定されているためです。呼気が開始すると、曲線は呼気流速のおおよそ50LPMで頂点に達し、呼気の終了までゆっくりと基線に戻ります。

The Volume versus Time Waveform is the bottom tracing. It gradually increases to the set tidal volume of 0.5 L, then returns to baseline at the end of expiration.

 最下段が容量-時間波形です。設定した換気量500mlに到達するまでゆっくり曲線が上昇し、呼気終了の時点で基線に戻ります。

The Pressure versus Time Waveform is the top tracing. At the beginning of inspiration, the pressure increases rapidly to about 8 cm H2O due to the resistance of the circuit and endotracheal tube. Then, because the Flow versus Time Waveform is decelerating, the flowrate decreases, and the rise in the inspiratory pressure up to 15 cm H2O is not as quick, resulting in a reduction of the slope of the Pressure versus Time Waveform. During exhalation, the tracing returns to baseline, which is 0 cm H2O because no PEEP was selected. The shape of this Pressure versus Time waveform is typically referred to as a tapered or shark-fin waveform, and is a normal Pressure versus Time Waveform when ventilating a patient in Volume-Targeted Ventilation with a decelerating flow waveform.

 最上段が圧-時間波形です。吸気開始時点で回路と挿管チューブの抵抗により圧がおおよそ8cmH2Oのところまで急速に上昇します。流速-時間波形は漸減波を選択しているため流速は低下を呈し、圧波形で吸気圧が15cmH2Oへ上昇する傾きはゆるやかです。呼気曲線は基線へ戻り、この場合はPEEPが設定されていないので0cmH2Oとなります。この圧-時間波形の曲線はサメのひれに形容され、漸減波を用いた際の量規定の正常な圧―時間波形です。


日本語訳 岩本志津(米国呼吸療法士)

2011年4月11日月曜日

[呼吸器話] 呼気の話再び

図らずも自らが気管挿管・全身麻酔を受けるという機会があったため久しぶりの更新です。
今回は人工呼吸管理中の呼気について話します。以前も一度触れましたが、呼気は吸気で膨らんだ肺と胸郭の弾性によって行われます。この動作は患者さんが努力して息を吐こうとしていない限り受動的で、人工呼吸器で直接的に調節できるわけではありません。「どうせ調節できないのなら、くどくど話してもしょうがないじゃないか」と考えるかも知れませんが、調節できないからこそ逆にしっかりモニターする必要があります。人工呼吸管理中の患者さんが息を十分に吐けないと、エアトラッピングAir trappingという重大な問題が起こります。直接的に調節できないと言いましたが、実は間接的に調節する技はあります。詳しくは閉塞性肺疾患の呼吸管理の話のときに説明します。
さてここで肺気腫の肺と肺線維症の肺を考えてみましょう。肺は風船に例えられるのでしたね。どちらの肺が薄いゴムの膨らみやすい風船で、どちらが厚いゴムの膨らみにくい風船でしょうか?
左は肺気腫、右は肺線維症の胸部X線写真

いかにも肺線維症の肺の方が膨らみにくそうに見えますが、その通りです。肺気腫の肺の方がゴムが薄い(コンプライアンスの高い)風船で、肺線維症の方はゴムの厚い(コンプライアンスの低い)風船です。コンプライアンスが高く膨らみやすい風船は、ゴムが薄いので縮みにくくなります。コンプライアンスが低い場合は逆で、肺線維症の肺は膨らみにくく縮みやすくなっています。同じだけの空気が肺に入っている場合、縮みやすい(コンプライアンスの低い)肺線維症の肺の方が早く息を吐き終わります。コンプライアンスが低下する典型的な例であるARDSの人工呼吸管理では設定呼吸回数を35回にまで上げることがあります。このような高い呼吸回数(短い呼吸時間)でも息を吐ききれるのはコンプライアンスが著しく低いためです。
次に喘息重積発作の患者さんと、健康な患者さんを比べてみましょう。喘息重積発作では気管支攣縮のため気道が細くなっています。これは細いストローに例えられます。細いストローと普通の太さのストローを通じて同じ圧で同じ量の息を吐くと、どちらの方がより時間がかかるでしょうか?空気の流れにくい(気道抵抗の高い)細いストローの方が息を吐くのにより時間がかかりますね。
気道抵抗、コンプライアンスと呼気時間の関係をまとめると次の表のようになります。

気道抵抗とコンプライアンスを組み合わせたのが時定数という概念で、呼気にどれだけ時間がかかるかの目安になります。知っているとちょっと通っぽく見えます。時定数が高いと呼気に時間がかかり、低いと呼気時間は短縮します。
時定数=コンプライアンス×気道抵抗

2011年4月4日月曜日

[アシュワース教授] Lonny Ashworth教授の第1回呼吸ケアレクチャーです

Use of Graphic Analysis during Mechanical Ventilation
      人工呼吸管理でのグラフィック利用

This will be Part 1 of a series of posts related to the Use of Graphic Analysis during Mechanical Ventilation. In this series, we will present the following discussions:
Part 1 – Purpose of Graphic Analysis during Mechanical Ventilation
      Types of Waveforms, Axis and Scales
Part 2 – Pressure versus Time Waveform
Part 3 – Flow versus Time Waveform
Part 4 – Volume versus Time Waveform
Part 5 – Pressure-Volume Loop
Part 6 – Flow-Volume Loop

 今回は人工呼吸管理中のグラフィック利用に関するシリーズの第1回目です。このシリーズでは以下の内容について話します。
回  人工呼吸管理中のグラフィック分析の目的
     波形のタイプ、軸とスケール
回  圧-時間波形
第3回  フロー―時間波形
第4回  量―時間波形
第5回  圧―量ループ
第6回  フロー―量ループ


Part 1 – Purpose of Graphic Analysis during Mechanical Ventilation
1回 人工呼吸管理中のグラフィック分析の目的

Most critical care ventilators provide a graphic display to assist in the management of patients undergoing ventilatory assistance. These displays provide a real-time, ongoing, graphic tracing of the patient’s airway pressure, inspiratory and expiratory flowrates, and the inspiratory and expiratory volumes. If clinicians understand the graphic waveforms and loops displayed and use this in the management of the patient, it will improve patient-ventilator interaction.

 人工呼吸器で補助を受けている患者の管理において、ほとんどの重症ケア用の人工呼吸器はグラフィックを表示できます。グラフィックにより、リアルタイムで継続的に患者の気道内圧、吸気・呼気の波形、吸気量、呼気量を視覚的にモニターできます 。もし、臨床家が人工呼吸器に表示されたグラフィック波形やループを理解し、患者管理のために使用すれば、患者―人工呼吸器の相互作用を改善することになるでしょう。

When ventilating a patient with positive pressure ventilation, it is important to monitor the patient closely to make sure that the patient and ventilator are working in synchrony. This will reduce the patient’s work of breathing, which will reduce the oxygen consumption and carbon dioxide production, thereby improving the pH. Future posts in this series will go into more detail related to patient-ventilator synchrony.

 陽圧換気により患者を換気する時、患者をよくモニターし、患者と人工呼吸器が同調していることを確認することが大切です。これにより患者の呼吸仕事量を軽減し、そして酸素消費量と二酸化炭素産生量を軽減する事になり、それによってpHを改善することにつながるからです。患者−人工呼吸器の同調性に関しては、今後このシリーズの中でさらに詳しく述べていきます。

Another benefit of using graphic analysis is that the complications of positive pressure ventilation can be reduced. By closely observing the graphic waveforms we are able to determine that the tidal volume is too high, or the expiratory time is too short, or the inspiratory time is too long, and many more related issues. Future posts will provide more detail for each of the waveforms and loops.

 グラフィック分析を利用するもう一つの利点は、陽圧換気の合併症を軽減できるということです。グラッフィック波形をよく観察することで、一回換気量が大きすぎないか、呼気時間が短すぎないか、又は吸気時間が長すぎないか、そしてその他の多くの関連した問題について判断することができます。それぞれの波形とループについて詳しい内容は今後の記事の中で説明していきます。

Type of Waveforms, Axis and Scales
波形のタイプ、軸とスケール

The most common types of scalar waveforms are: Pressure versus Time Waveforms, Flow versus Time Waveforms, and Volume versus Time Waveforms. The most common types of loops are: Pressure-Volume Loops and Flow-Volume Loops. Each of these waveforms and loops will be discussed in future posts.
 
 最もよく見られるタイプのスケール波形は、圧―時間波形、フロー―時間波形、量―時間波形の3つです。最もよく見られるタイプのループは圧―量ループとフロー―量ループの2つです。それぞれの波形とループについては今後の記事の中で説明していきます。

Each graphic waveform has an X axis and a Y axis. It is important to know what parameter is being displayed on each axis. All ventilators will display the name of the axis on the waveform.

 それぞれのグラフィック波形には軸と軸があります。各々の軸にどのパラメーターが表示されているか知ることが大切です。全ての人工呼吸器で波形の軸の名称は表示されています。

The scale of each axis must also be identified. Some ventilators automatically scale the waveform to display the complete tracing being monitored, while other ventilators allow the clinician to select the range of values being displayed by changing the scale. Generally, the scale should be set to allow the full waveform to be as large as possible. If the scale is set too high, the waveform will appear very small and the clinician may not be able to identify important variations in the waveform. If the scale is set too low, then the full waveform will not be displayed.

 また、それぞれの軸のスケールも確認しなければいけません。人工呼吸器の中にはモニタリングされている軌跡(トレーシング)が完全に表示されるように自動的にスケールが決まるものがあります。一方で臨床家がスケールを変えることによって表示される値の幅を選択することが可能な人工呼吸器もあります。一般的にスケールは波形全体がなるべく大きく表示されるように設定するべきです。もしスケールの設定値が大きすぎるならば、波形の表示はとても小さくなり、波形の中の重要な変化を見つけにくくなるかもしれません。もしスケールの設定値が小さすぎるならば、波形全体が表示されなくなります。

The following image is an example of a correctly set scale for each waveform. Pressure is graphed on the Y axis of the top waveform, Flow is being graphed on the Y axis of the middle waveform, and Volume is being graphed on the Y axis of the bottom waveform. Time is being graphed on the X axis for each of the waveforms.

 以下に示す画像はそれぞれの波形について適切に設定されたスケールの一例です。上段の波形の縦軸には圧が示されており、フローは中段の波形の縦軸に示され、下段の波形の縦軸に量が示されています。時間はそれぞれの波形の横軸に示されています。

適切なスケールの例

 The scale for each waveform is appropriately set. The full waveform can be displayed, allowing the clinician to identify specific clinical situations. The Y axis on the Pressure versus Time waveform displays a maximum of 20 cm H2O. Since the patient’s peak inspiratory pressure is only 15 cm H2O, this is an appropriately set scale. The Y axis on the Flow versus Time waveform displays a maximum of 80 L/min. Since the patient’s peak flowrate is 60 L/min, this is an appropriately set scale. The Y axis on the Volume versus Time waveform displays a maximum of 750 mL. Since the patient’s tidal volume is 500 mL, this is an appropriately set scale. The X axis scale is set for 12 seconds. Because the patient’s respiratory rate is 20/minute, this allows four breaths to be displayed on the screen.

 それぞれの波形のスケールは適切に設定されています。波形全体が表示され、臨床家が特定の臨床状況を見つけられるようになっています。圧―時間波形の縦軸では20cmH2Oが最大値となっています。患者の最高吸気圧は15cmH2Oなのでこれは適切に設定されたスケールです。フロー―時間波形の縦軸は最大値80L/を示しています。患者の最高流速は60L/ですのでこれは適切に設定されたスケールです。量―時間波形の縦軸は最大値750mlを示しています。患者の一回換気量は500mlですので、これは適切に設定されたスケールです。横軸のスケールは12秒に設定されています。患者の呼吸数は20/分であるため、スクリーン上では4回の呼吸を表示することができます。

The following image is an example of setting the scale too large for each of the three waveforms being displayed. If the scale is too large, the displayed waveforms will be so small it is difficult to identify subtle changes that may be clinically important. 

 次の画像は表示された3つの波形のそれぞれにおいてスケールの設定が大き過ぎた例です。もしスケールが大き過ぎると、波形の表示が小さくなりすぎて臨床的に重要かもしれないわずかな変化を見つけるのが困難になります。
スケールが大きすぎる例


The following image is an example of setting the scale too low. Because the scale is too low, the full waveform cannot be displayed, which limits the clinical usefulness of this waveform.

 次に示す画像はスケールの設定が小さすぎた例です。スケールが小さすぎるために、波形全体が表示されず、この波形の臨床的有用性を制限しています。

スケールが小さすぎる例


Next week the clinical use of the Pressure versus Time waveform will be discussed.

次週は圧―時間波形の臨床利用について述べます。

日本語訳 マクマーン由香(米国呼吸療法士)