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2011年9月30日金曜日

ワークショップに参加された皆様へ

 第1〜3回若手医師のための人工呼吸器ワークショップ、人工呼吸器ブラッシュアップワークショップにご参加下さった皆様。

 すでにメールでご案内しておりますが、今後のワークショップの質をさらに改善するために、これまで受講された方を対象に、アンケートをさせて頂いております。
 ワークショップ受講前後で人工呼吸器の使用方法に変化があったのか、どのような講義が役に立ったのかをお聞きしています。約1分でできる内容ですので、まだご回答頂いていない方がいらっしゃいましたら是非ご協力をお願いします。
 皆さんの貴重なご意見を参考に、ワークショップをさらに実りのあるものにしたいと考えております。お忙しい中、お願いして申し訳ありませんが、よろしくお願いします。
 

第1回若手医師のための人工呼吸器ワークショップ
(亀田総合病院シミュレーションセンターにて)

第2回若手医師のための人工呼吸器ワークショップ
(コヴィディエンジャパン株式会社 板橋事務所にて)

第3回若手医師のための人工呼吸器ワークショップ
(コヴィディエンジャパン株式会社 板橋事務所にて)

人工呼吸器ブラッシュアップワークショップ
(コヴィディエンジャパン株式会社 板橋事務所にて)

2011年9月19日月曜日

[アシュワース教授]パート5 圧−量ループ


Part 5 – Pressure-Volume Loop
パート5 圧−量ループ

The Pressure-Volume Loop is used to help identify patient-ventilator dys-synchrony and over-distension, which may be caused by using too large of tidal volume or excessive PEEP. Some published research has identified patient-ventilator dys-synchrony in up to 25% of patients receiving ventilatory support. Patient-ventilator dys-synchrony may increase the patient’s work-of-breathing, prolong ventilatory support and may increase the chance of ventilator-induced lung injury. Therefore, it is very important to carefully monitor the Pressure-Volume Loop to prevent patient-ventilator dys-synchrony.

圧−量ループは、患者−人工呼吸器非同調や、大きすぎる一回換気量または高すぎるPEEPによって引き起こされうる過膨張を発見するのに使います。いくつかの研究では、人工呼吸管理をされている患者の25%までに患者−人工呼吸器非同調が見られたとしています。患者−人工呼吸器非同調があると、患者の呼吸仕事量が増加し、人工呼吸器が必要な期間を長引かせる可能性があり、人工呼吸器誘発の肺障害(VILI)のリスクを増大させる可能性があります。よって患者−人工呼吸器非同調を防ぐために、圧−量ループを注意深くモニターすることが大変重要になります。

Normal Pressure-Volume Loop
正常な圧−量ループ

The following images are examples of a patient being ventilated in Volume-Targeted ventilation. The ventilator settings are: Volume A/C; Respiratory Rate 20/minute; Tidal Volume 0.5 L; Peak Flowrate 60 LPM; Square Flow Waveform; PEEP 0 cm H2O. This patient is not making any spontaneous efforts.

次に示す画像は量規定換気で換気されている患者の例です。人工呼吸器の設定は量規定アシストコントロール、呼吸回数20回/分、一回換気量0.5L、最高気道流速60LPM、矩形波、PEEP 0 cm H2Oです。この患者は自発呼吸の努力を全くしていません。

Pressure is being graphed on the X-axis; Volume is being graphed on the Y-axis. At the beginning of inspiration, pressure starts at 0 cm H2O because PEEP is set at 0 cm H2O. As the 500 ml tidal volume is delivered, the airway pressure increases to approximately 19 cm H2O. The inspiratory tracing is red because the patient did not initiate the breath. Expiration is graphed as blue-green on this ventilator.

圧はX軸に示されており、量はY軸に示されています。PEEP0 cm H2Oに設定されているために、吸気の始まりでは圧は0 cm H2Oになっています。500mlの一回換気量が送られたとき、気道内圧は約19 cm H2Oまで上昇しています。患者が吸気を開始していないために、吸気の軌跡は赤で示されています。この人工呼吸器上では呼気は青で示されています。

自発呼吸がないときの圧−量ループ

In the following graph, directional arrows were added to the image to demonstrate that inspiration is graphed going upward and to the right; during expiration, the tracing goes toward the left and downward.

次に示すグラフでは、吸気時に軌跡が右上方に上がって行き、呼気時に左下方へ下がっていくのを示すために、矢印を加えています。

吸気(Inspiration)、呼気(Expiration)を矢印で示しています

In this graph, lines were added to demonstrate the peak inspiratory pressure of approximately 19 cm H2O and the tidal volume of 500 ml.

このグラフでは最高吸気圧が約19 cm H2Oであり、一回換気量が500 mlであることを示すために線を加えています。

最高吸気圧19cmH2O、1回換気量500mlであることを示しています

When you click on the attached video, it will play a video file of a normal Pressure-Volume Loop. Please note that the inspiratory tracing is yellow, because the patient is triggering assisted breaths.

下に添付したのは正常な圧−量ループのビデオです。患者が補助呼吸をトリガーしているために吸気の軌跡が黄色であることに注目してください。



The next two posts about graphics will discuss abnormal Pressure-Volume Loops.

次の2回分のグラフィック講義では、圧−量ループの異常についてお話します。

日本語訳 マクマーン由香(米国呼吸療法士)

2011年9月18日日曜日

[アシュワース教授]次回予告

 Lonny Ashworth教授による次回のグラフィックレクチャーでは、P-Vループを扱います。7月の「グラフィックセミナーの夕べ」でも扱いましたが、ループは直感的にわかりにくいと、苦手意識を感じておられる方もいらっしゃるようです。
 いつものように、非常にわかりやすい説明をしてくださると思いますので、どうぞお楽しみに。


2011年9月14日水曜日

20秒でできる人工呼吸器アンケート第3弾 集計

 今回も多数の皆様から回答を頂きました。
 ルーチンで使っていらっしゃる方は少ないのですね。適応に応じて使っていらっしゃるのはすばらしいです。うちの施設では、いまだに何となくオーダーされているネブライザー指示が多く、「ルーチンではないが、投与することが多い」に当てはまると思います。大いに改善の余地ありです。
 気管支拡張剤以外に投与する薬剤としては、ビソルボンやムコフィリンと言った去痰薬の使用が多く、その他にはネオフィリン、インタールを使うという方もいらっしゃいました。どれくらい「効いている」感があるのか、使用している方の印象も是非お聞きしたいです。
 ラシックス、モルヒネ、ヘパリンなどの吸入を使っておられる方がいるのではないかと期待していましたが、回答はありませんでした。
 皆様、ご協力ありがとうございました。

2011年9月6日火曜日

20秒でできる人工呼吸器アンケート第3弾

 「人工呼吸管理中の患者さんに、ネブライザーってやらないとだめなの?」という質問を頂くことがあります。手間的にも感染管理的にも、やらないで済むならその方が良さそうですよね。
 と言うわけで、20秒でできる人工呼吸器アンケート第3弾はネブライザーについてです。是非ご参加下さい。



2011年9月3日土曜日

[アシュワース教授] パート4 量-時間波形


Part 4 – Volume versus Time Waveform
パート4 量-時間波形

The Volume versus Time Waveform is used to identify the presence of a leak in the system. This leak may be caused by a leak inside the ventilator, a leak in the circuit, a leak within the endotracheal tube or tracheostomy tube cuff, or even a pleural leak. Even though the Volume versus Time Waveform can identify the presence of a leak, it does not identify where the leak is located; it is up to the clinician to determine the source of the leak.

 量-時間波形はシステム内のリークを認識するために用いる。リークの発生する箇所には、人工呼吸器の本体内部、回路、挿管チューブや気管切開チューブのカフ、胸腔ドレーンなどがある。量-時間波形でリークの存在が確認できても、リークが発生している箇所を特定することはできないため、臨床家がリークの箇所を突き止めなければならない。


The ventilator has two flow sensors. One flow sensor is located within the ventilator; it measures the inspiratory flow and calculates the inspiratory volume. The second flow sensor is located after the exhalation valve; it measures the expiratory flow and calculates the expiratory volume. When a leak occurs, the inspiratory volume is not affect, however, because of the leak, some of the gas does not pass through the expiratory flow sensor, resulting in a change in the Volume versus Time Waveform.

 人工呼吸器には2つのフローセンサーがある。ひとつは人工呼吸器の内部にあり、吸気フローを計測して吸気換気量を計算する。もうひとつのフローセンサーは呼気バルブの後に位置しており、呼気フローを計測して呼気換気量を計算する。リークが発生すると、呼気換気量は影響をうけないが、ガスの一部は呼気フローセンサーを通過しないため、量-時間波形に変化が起こることになる。


The following image is an example of a patient being ventilated in Volume-Targeted ventilation. The ventilator settings are: Volume A/C; Respiratory Rate 20/minute; Tidal Volume 0.5 L; Peak Flowrate 60 LPM; Square Flow Waveform; PEEP 0 cm H2O. This patient is not making any spontaneous efforts. The Volume versus Time Waveform is the bottom tracing. It gradually increases to the set tidal volume of 0.5 L, then returns to baseline at the end of expiration. This is a normally appearing Volume versus Time Waveform.

 次に表示する画像は、量規定換気で管理されている患者である。人工呼吸器設定は、量規定アシストコントロール、呼吸回数20/分、一回換気量500ml、ピークフロー 60LPM矩形波、PEEP 0cmH2Oである。患者の自発呼吸はない。3つの波形のうち最下段が量-時間波形である。波形は500mlの換気量に達するまでなだらかに上昇した後、呼気へ移行し呼気終末で基線に戻る。これが正常の量-時間波形である。 

正常の量-時間波形


When you look at the Volume versus Time Waveform in the following tracing, you notice that the waveform appears normal in the first two breaths. The inspiratory volume and expiratory volume are both approximately 500 mL. However, when you look at the third and fourth breaths, you notice that the inspiratory volume is 500 mL, but the expiratory volume does not return all the way to baseline. In this case, there is a leak of approximately 150 mL. This can also be confirmed by looking at the digital display of the exhaled tidal volume, which shows 0.35 L or 350 mL. Because the set tidal volume is 0.5 L, the leak is approximately 150 mL.

 次の量-時間波形を見てほしい。最初の2呼吸は正常波形であり、吸気、呼気の換気量ともに500mlであることを示している。しかし後半2つの波形では吸気換気量は500mlだが、呼気換気量は完全に基線に戻っておらず、およそ150mlのリークがあることがグラフィックから確認できる。このことは、画面左端の呼気換気量(Vte)のデジタル表示に0.35L(すなわち350mlと表示されていることからも確認できる。設定換気量は500mlなので、リーク量はおおよそ150mlとなる。

後半の2つの波形ではリークが見られる


When a leak is detected, it is important that the clinician identifies the leak and corrects the leak, if possible. If the leak is inside the ventilator, within the circuit or due to a cuff leak, the patient will not receive the set tidal volume and the alveolar ventilation will be reduced. Many times the leak can be identified by listening closely around the circuit or holding your hand near the circuit. If the leak is in the cuff, frequently an audible sound can be heard as gas passes around the cuff during inspiration. Sometimes it may be necessary to place your stethoscope on the patient’s trachea to identify a cuff leak. If the leak is due to a pleural leak and the patient has a properly functioning chest drainage system, it is important to make sure the amount of leak is monitored closely.

 リークが見つかった場合、どこでリークが発生しているのかを判断し、可能なら対処することが重要である。人工呼吸器内部、回路、カフにリークがあると、患者は設定された換気量を得ることができず、肺胞換気量が減少する。回路にリークがある場合、回路の近くで耳を澄ます、もしくは回路に手をかざすことでリークの部位を見つけられることが多い。もしカフ周囲でリークが存在するのであれば、吸気時にガスがカフ周囲を通る音で判断できる。時には、聴診器を患者の気管にあてて聴いて、カフリークを判断するのが必要なこともある。胸腔ドレーンからのリークがある場合には、実際のリーク量を密にモニターすることが重要である。

日本語訳 岩本志津(米国呼吸療法士)